恭平くんは突如、わたしの肩に両手を置いたかと思うと、即座にくるりとわたしの身体を回した。
なにするの!、と咎める隙を与えず、彼は行動ひとつ抜かりない。
彼と同じ方向を向いたわたしの肩に片腕を回し、自分の方へと引き寄せる。
窓越しのくせに、密着度は高い。
彼の甘い匂いがわたしに移る。
……心臓が尋常じゃないほどドキドキしているのが、彼に聞こえてたらどうしよう。
頭がぽーっとする。
さらに悲鳴が大きくなったのは、もう気にしていられない。
「この子、俺の彼女になったから。いじめないであげてね」
彼が人形のような美麗な笑みを浮かべた途端。
悲鳴が収拾のつかないことになったのは……言うまでもない。



