あくまくんが愛してやまない。




「みゆうちゃん、加世の相手なんかしなくていいから」


そう言うなり長谷川くんにひと睨みをきかせると、恭平くんはわたしを抱き寄せた。


不意打ちのそれにドキドキ胸を高鳴らせていると、長谷川くんは嫌そうに顔をしかめる。



「保志ちゃんのためなら、シフト変わってやってもいいと思ったのに」


「加世がみゆうちゃんに鼻の下伸ばしてるからじゃん」


「そりゃ可愛いからね。まあ、慈悲深い俺が、特別にシフト変わってやるよ」


「さすが加世。また奢るわ」



「しゃーなしな」




なんだか結局丸く収まったようで安心する。

店番を代わってくれるらしい長谷川くんの優しさに、わたしもお礼を言う。



「ありがとう……! 長谷川くん」