あくまくんが愛してやまない。




なんとか一歩を踏み出し、彼のもとへ歩き出す。

わたしの一挙一動が視線を集めているのを感じて、ただ歩くだけなのにままならない。


軽く泣きそうになりながら、彼の目の前に立った。

昨日ぶりの恭平くんは相変わらず美しくて、だれよりも輝いて見えた。



「なんで泣きそうなの」



くつくつと肩を揺らして笑う恭平くんは、ぜったい意地悪だと思う。

わかってるくせに、言わそうとする。


こんな注目を浴びているのに、知らんぷりして。



「ううっ……わたし、目立つの得意じゃないのに……」



なんだかみんなに会話を聞かれてほしくなくて、小声で答える。

それに気づいたのか、恭平くんはわたしの耳元へ唇を寄せた。



「これからもっと目立つことになると思うから、覚悟しててよ」