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「あ、あくまくんだ!!カッコいー!」

「執事喫茶行けてなかったから、廊下で会えてラッキーすぎる!」

「ほんっと、なんであんなにカッコいいんだろう……」




廊下を歩いているだけで、うわさされるとなりの彼。


多くの視線を集めているというのに、当の本人は関心がなさそうに平然としている。


わたしがとなりにいることを知った女の子たちが、またもやささやきあっているのが聞こえる。



「……ほら、あの子あくまくんの彼女の」

「あー……、なんであの子なんだろうね。ほかにもお似合いの女の子たくさんいるのに」

「ほんとにね。もしかしたらわたしも告ったら付き合えてたかも」



ぜんぶ聞こえているけれど、前みたいに肩を縮こまらせたりはしない。