あくまくんが愛してやまない。



ギャラリーのこそこそ話もすべて聞こえてます……、と肩を縮こまらせる。


……ああ、平和な日常が消えていく予感。

注目をどんどん浴びながら、エミの後ろに隠れる。



お願いだから、これ以上目立つことはやめてほしいのに、恭平くんは気にせず口を開いた。



「みゆうちゃん、こっち来て」



窓枠に肘をついて、エミの後ろに隠れるわたしへと、つまんなそうに声をかける。


……それは、ズルいよ。恭平くん。




彼の言葉で金縛りが解けたわたしに、エミが行ってきなとでも言うように背中を押した。



彼の瞳はわたしだけ映っている。

なんでこんなことをするのか、本当にわからない。



そんなのしたら、誤解されちゃうよって言いたいのに、思うように言葉が出ない。