さっきも、保志が他校の男たちに絡まれているときも、助けられなかった。
助けようと手を伸ばしたときに、あいつが颯爽と現れたから。
当て馬ってこういうことだなって思ったし、あいつがヒーローなのも納得してしまった。
阿久間は、保志がいてほしいときに、ぜったいに現れる。
あの様子だと、阿久間は保志のことを本気で好きになったんだろうし、もう俺は出る幕がないのだ。
「はあーーーーっ」
かなり長いため息をつき、天を仰いだ。
俺は失恋したっていうのに、天気は憎いくらい明るく晴れている。
太陽が眩しくて目を細めていると、糸原はじっと俺を見ていた。
不意打ちでドキッとしてしまう。
糸原ってこんな綺麗だったっけ、とかなり失礼なことを思った。
「沢内って、鈍感だよね」



