あくまくんが愛してやまない。




「あ、みゆうちゃん。発見」



バチっと目が合った。

こんなに歓声だらけの教室なのに、なぜか彼の声はすっと耳に通って入ってくる。


みるみる赤くなるわたしの頰が見えているのか否か。

ひらひらと手を振って、平然と笑っている恭平くんはとても綺麗だ。



彼の唇がわたしの名前を紡いだ瞬間、騒々しかった空間が、冗談でもなんでもなく一瞬にして止んだ。



「ちょ、みゆうって言ったよ、まって、ガチじゃん、え?」



戸惑いを隠せないエミがまたもや背中をバシバシ叩いてくる。

その痛ささえ感じないのだから、もう硬直状態から溶けそうにない。




「え、いまみゆうちゃんって言ったよね……?」

「あくまくん、みゆうと仲良いとか、……聞いてないよね?」

「幻聴、だよね?」