あくまくんが愛してやまない。




……睨んでいる、のかは着ぐるみのせいでわからないけれど、沢っちはどこか殺気立っていた。



「だ、だれだよ、おまえ!」



少し怯んだ男の人たちだったが、わたしをまだ離そうとしない。




……恭平くん、助けて。

こんな状況、見られたくないのに。



どうしよう、とただその5文字が頭の中に浮かんで身体が動かなくて。


そんなわたしを助けようと、沢っちは手を伸ばした。



けれど。






「────みゆうちゃんどこ」






大好きな人の声が、すっと耳に入った。


ずっと呼んでほしかった名前を、彼が口にしていた。




涙が出そうなほど胸が熱くなって、言葉なんか出ない。


沢っちが、わたしに伸ばした手をおろしたのが見えた。