あの雨の日の出来事をエミに話すと、彼女は深いことはなにも言わず寄り添ってくれた。


ただ、『そっか』とうなずいてくれて、背中をさすってくれたのだ。


それがどれほどありがたかったかは、エミはたぶんわかっていない。

いつか恩返ししないといけないな、と毎日のように思っている。



「……会ってないよ、まったく」


「……そっか」



「愛想尽かされちゃった、かな」


「そうだとしたら、わたしが殴り込みに行ってあげるわ」



「うわーん……っ、エミ大好きだよおお……」


「いまだけは愛人になってあげるよ」