こんなにひとりの女の子のことを考えるのははじめてで。
いろんなひとに、俺らしくないって言われるし。
でも、そろそろ素直にならないといけない。
「もう、……ぜったい泣かせねえよ」
またもやひとりごとのつもりだったけれど、となりの加世は何食わぬ顔で合いの手をいれてくる。
「あたりまえだろ。今度泣かせたら本格的に俺が狙っちゃうよ」
「だれにもやんねえわ」
「常にライバルが周りにいるって覚えときな? 恭平」
「……上等じゃん」
沢内くんといい、加世といい。
みゆうちゃんは、どれだけ人をたらせば気が済むわけ。
俺も彼女の愛嬌にやられた男だからあんまり言えないけど。