だから、……俺もさっさと素直になるべきってことか。
「みんなの“ あくまくん ”が彼女一筋だとか笑えるんだけど」
加世の言葉に我に返ると、さっきのふたりはもうどこかへ行ってしまっていた。
かわりに加世がフェンスに寄りかかり、となりで仕方がなさそうに微笑んだ。
「俺がいちばん笑えるわ」
みゆうちゃんにキスをしたとき。
……あ、やってしまった。
そう思ったのは確かだ。
超ピュアなみゆうちゃんを汚したくないと心の底では思っていたから、あのあと後悔して何も言えなかった。
でも、とろんとした熱っぽい瞳をした彼女にもう一度噛みつきそうになったんだけど。
そうなる前に、みゆうちゃんが涙を流していたのだ。