あくまくんが愛してやまない。




……そうだよな。


自分でも、もちろんわかっている。




俺の行動で、みゆうちゃんを混乱させてしまっていること。

だけど、自分のそんな行動に戸惑っているのは、俺自身も同じだったりするのだ。



ふうっと息を吐き、フェンスから外の景色を見る。

今日はうっとうしいくらいの晴れ模様で、あの雨の日の出来事を嫌でも思い出させてくる。



「あっ、あくまくんだ! 今日もかっこいいね!」

「ねえねえ、あくまくん! 今度遊ばない?」



甘ったるい声に振り返れば、同学年の女の子がふたり立っていた。


風に吹かれて香水の匂いが鼻を掠める。



みゆうちゃんはこんな匂いじゃない。

もっと、柔軟剤のフローラルの優しい匂いだった。