あくまくんが愛してやまない。





「うわー……待って。そんな目で見ないで」




とろんとした熱っぽい瞳で恭平くんを見つめていると、彼はわたしの目を手で隠した。


彼は困ったように笑っていた。



途端にざあざあと降りしきる雨の音が耳に入ってきて、現実に戻る。




「き、きょーへい、くん……」


「……なに、みゆうちゃん」



「いまのって、……き、キス、ですか?」


「……うん、そうだね」





かあっと頰が赤らんでいくのがわかる。


どうしよう、どうしよう……恭平くんとキス、しちゃった。



彼を直視できなくなり、ぎゅっと拳を握って俯く。



全身が熱い。

ここが学校の近くで、だれかに見られているかもしれないだなんて考えられなかった。