わかってるのに、わたしは恭平くんを選ぶ。
好きな人の好きな人になるのは、本当に難しい。
わたしが恭平くんを追いかけて捕まえられないのと同じで、沢っちはわたしを想ってくれている。
それがどうしようもなく嬉しくて辛くて、なんだか言葉に詰まった。
「保志を泣かせたら、俺、本気で奪いに行くからな」
わたしたちに背を向けて、沢っちは雨の中を歩いて行く。
家とは反対方向に向かっているところから、わたしと同じ道で帰らないように配慮してくれていることを知る。
なんでそんなに優しいんだろう。
恭平くんがとなりにいるのに、沢っちの優しさに涙が出そうだった。
「みゆうちゃん」
呼びかけられ、恭平くんを見る。
彼といるのにちがうひとのことを考えてしまったことに気づき、慌てて知らないふりをして傘をさす。



