……どうしよう、嬉しい。
じーんと心が温まる。
でも、その嬉しさをいまは体現できない。
……沢っちが、哀しそうにわたしを見ていたから。
ズキっと心が痛むのと同時に、沢っちは恭平くんを一瞥する。
沢っちが敵対心ばりばりで睨んでいるのを、恭平くんはまったく物ともせずにっこり笑っている。
それに苛立ったのか、沢っちは一歩前に踏み出して恭平くんに近づいた。
「へえ、彼氏っぽいことしてんじゃん」
「まあ、ちゃんと彼氏だからね」
「ふーん……、あの阿久間がねえ……」
呆れたように傘を開く沢っち。
わたしが恭平くんと帰るとわかって、自分からひとりで帰ろうとしていることを悟る。
その優しさに、エミの言葉が重なる。
『沢内は、いいやつだよ』



