あくまくんが愛してやまない。





「恭平、くん……」




ぽろっとこぼれた名前に、柱にもたれていた彼が顔を上げる。


たぶん、わたしと沢っちの声は聞こえていたはずだ。


それなのに、それを気づかないふりをしている。



なんで、こんなところにいるの……?



別にやましいことなんてひとつもないのに、いま沢っちとふたりきりでいたことに、焦って弁解したくなる。





「……お出迎えか?」



沢っちの言葉に我に返る。

恭平くんと目が会うたび、勘違いされてるんじゃないかとひやりとする。



中途半端に傘を開きかけた手が寂しくなってすぐに下ろす。


恭平くんをちらりと見ると、彼はわたしなど視界に入れていなくて、沢っちをじっと見据えていた。




「……まあね。みゆうちゃんを待ってた」



わたしを、待ってた。

その言葉に、はっとして顔を上げる。