「ふうん。まあ、なんでもいいんだけど」
じゃあ、解放してください。
なんて言えるはずもなく、世でいう壁ドン状態をずっと続けている。
こんな状況だけど、目の前には大好きな人。
いままでまともに話したことないのに、急にこんな至近距離。
あれを見られてさえいなければ、きっと昇天していたと思う。
なるべくドキドキなんてしていない素振りをしているけれど。
やっぱり、阿久間くんは本当にかっこよすぎる。
いまこの目の前の彼を新しく生徒手帳に入れたいほど。
ぼーっと見惚れるわたしに、阿久間くんはちょこっと首を傾げた。
「じゃあさ。俺と、付き合う?」
おれと、つきあう?
「……っ、はい?!」
あれ、いま、この人なんて言った?
まさに、『次の授業なに?』のテンションで言ってたけれど。
「いや、だから、俺と付き合う?って聞いたんだけど」



