ケラケラと軽やかに笑う恭平くん。
一瞬、本物の悪魔に見えたけれど、まさかそんなこと口にしない。
頰に当てていた手が退かされる。
彼の目尻が下がって、いままででいちばん優しい瞳で見つめられた気がした。
「あの、恭平くん……?」
「なに」
「ち、近くない……っ?」
鼻と鼻がくっつきそうな距離。
どうしたってドキドキする状況に、なんとか声を振り絞る。
恥ずかしくて涙目になり、恭平くんを上目遣いで見つめる。
勘違いじゃなければ……彼の目に熱っぽいものが灯っているように思えた。
「なあ、みゆうちゃん」
「あ、う、……どうした、の?」
彼の瞳がわたしの瞳を絡めとる。
「可愛い」
「……っ、へ?」
「いま俺、やばい、可愛いって思ってる」



