「なに、きみ、俺のこと好きなの?」
わたしをじっと見つめて、口角を上げる。
なんだか、わたしが知っている阿久間くんじゃないような気がしてならない。
もっとこう、みんなに笑顔で優しくて。
異次元レベルにモテることも鼻にかけず、もう少し謙虚な王子さまのはずなんだけど……。
どうしよう、もしかして。
わたし、とんでもない人に弱みを握られてしまったかもしれない。
「好き、というか、いわゆる推し、みたいな感じでして……」
はっきり言うと、推しなんかじゃなくて、わたしは阿久間くんが好きだ。
大好きすぎて、去年の文化祭で撮った阿久間くんとのツーショット写真を、生徒手帳に入れて大事に保管しているほど。
それをさきほど本人に見られてしまうという大失態を犯してしまったんだけど……。



