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「黙ってないで教えてよ」
クイ、と片眉をあげてわたしを見つめる彼。
その少しの動作でさえ、めちゃくちゃかっこいい。
ちがう、そんなことを言ってる場合じゃない。
わかってる、わかってるけど。
ううっ……やばい、どうしよう、なんとかしなきゃ。
いつまでもこんな状態でいられるわけなく。
それならささっと言い訳を考えて、いち早く彼から逃げないといけない。
好きな人からこれほど逃げたいと思うことは、金輪際ないだろう。
がんばって、ぐるぐると頭の中を回転させる。
フリーズした思考回路からなんとか絞り出した言い訳は、もちろん苦し紛れだった。



