「……で、本当はなんの用なの、沢っち」
言い合いに生気を吸い取られてぐったりしながら、目の前の彼に問う。
いまは昼休み。
わたしは今日もいつも通り屋上で恭平くんと過ごしてから、教室に戻ってきた。
あと予鈴まであまり時間がないのに声をかけてきたのは、しょうもない言い合いをするためじゃなくて、なにか理由があると踏んでいる。
しかも図書館へ向かうエミがまだ戻ってきていないのに急いで駆け寄ってきたから、ふたりで話そうとしてたのは明らかだ。
沢っちがエミ抜きでわたしと話そうとすることはかなり珍しい。
そう思って首を傾げると、沢っちは途端に表情を崩して口を開いた。
「さすが保志」
照れ臭そうに沢っちは鼻を掻く。
わたしの読みは当たっていたようで安心する。