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「なあ、保志」
「なに、沢っち」
「阿久間と別れた?」
「……別れてないよっ!!」
沢っちったら、なんて不吉なこと言うんだ!
毎日顔を合わすたびに毎回聞かれるから、言霊で本当にそうなるんじゃないかって恐ろしくなってくるよ!
憤慨するわたしと違い、沢っちは不服そうに唇を尖らせる。
「まだ別れてねえの?」
「なんでそんなこと言うの!? 別れないもん!」
「泣かされたら俺が慰めてあげるのに?」
「下心満載だよ!?」
「保志のこと好きなんだから、仕方ねえだろ」
うっと言葉を詰まらせる。
だって、そんなストレートに伝えられたら、少しだけ心が揺れる。
わたしは恭平くん一途だから、沢っちとどうかなることは考えられないけれど、毎度のごとく直球に言われれば申し訳なくなってくるのだ。