最後に(笑)が含まれているような恭平くんの物言いに、かあっと頰が熱くなる。
……恭平くんのばか!
完璧に彼のペースに呑まれていると、恭平くんは含みのある表情で言う。
「ま、頼むからあんま嫉妬させないでね」
どこまでも妖艶で、どこまでも余裕がある。
いつだって恭平くんはわたしをからかって楽しそうにしている。
その立場が逆転になることは一生ないんだろうなあ……と諦めつつ、わたしは観念してうなずいた。
「てことで、一緒に帰ろっか」
平然と喜ばすことを口にする恭平くん。
そんな彼には敵わない、そう思いながらも。
……やっぱり彼の沼から抜け出すことはできないよ。
そんなことを考えた、とある日の放課後だった。