あくまくんが愛してやまない。





言葉に詰まった先輩たちは、わたしたちのほうを一瞥した。


恭平くんに抱きしめられているからよく見えなかったけれど、彼らはおそらく、とても怒った顔をしていたんだと思う。


だけどすぐに苛立ちを隠せず舌打ちをすると、くるりと踵を返し、3人とも足早に去っていった。




足音が止むと、旧校舎は一気に静まり返る。

きっといまは、ふたりだけ。



いまにふさわしい言葉がなにも出てこなくて黙っていると、恭平くんが声のトーンを落として言った。




「……ごめん、みゆうちゃん」



いつもより威勢がない声にびっくりする。

からかうような、おもしろがるような調子じゃない。



……恭平くんが、元気ない。



本当に辛そうに言うから、わたしも慌てて声を出す。