「さっさと黙らせようぜ」
空気が一変して、野蛮な言葉が彼から放たれたと思ったら。
グッと顔を近づけられ、驚いて目を見開く。
……キス、される!
抵抗しても相手はビクともしない。
男の人との力の差に、抵抗する気力を失う。
────助けて、恭平くん。
なけなしの覚悟で、ぎゅっと目をつぶったそのときだった。
「───触んな」
低い声が降ってきた。
同時にガツッと鈍い音がしたかと思えば、わたしの腕を掴んでいた男の人は、急にわたしから遠のいた。
途端に鼻をつく甘い匂いに、安心して涙がぼろぼろ落ちていく。
「……っ阿久間、おまえ蹴りやがったな!」
痛みに顔を歪める金髪の彼に、恭平くんは冷めた瞳で言い放つ。



