あくまくんが愛してやまない。




彼は超がつく人気者だから、去年の文化祭に勇気を出して、ツーショット写真を撮ってもらえるようにお願いしたわたしのことなど覚えていないと思う。


それでもいい、見てるだけで充分だったのに。


まさか、本人に、それを生徒手帳に挟んでいるところを見られてしまうなんて……っ!



頭を抱えそうになるけれど、なんとか正気を取り戻す。


大丈夫、まだ誤魔化せるよね……!?

焦りすぎてもう頭が回らない。



「ひ、拾ってくれてありがとうございました……っ!」



とりあえずということで、彼の手から生徒手帳を奪い取ることに成功する。

さすがにそんなに大胆なことをされると思ってなかったのか、彼の反応も鈍かった。



そのまま顔面蒼白でその場からダッシュで去ろう……と考えていた、そのとき。



「わわっ……」



グイッと腕を引かれ、壁に背中が当たった。

驚いて目を見開くと、すぐ真ん前に美形なお顔。


鋭い瞳がわたしを捉えて離さない。