その14
夏美
私は迷ったが、矢吹鷹美には”伝えて”おくことにした
「はい、矢吹です…」
「夜分、すいません。相川と申しますが、鷹美さんはいらっしゃいますか?」
「ああ、先輩…。私ですよ」
電話口には鷹美が出てくれたわ
よかった…、夜10時を回っていたし…
...
「鷹美、ごめんね。こんな遅くに。大丈夫、今?」
「ええ、構いませんよ。ああ、今回はOG代表の件、了承いただいて。受験で大変なところ恐縮ですが、ひとつよろしくお願いします」
「ううん。あんな形で引責辞任しておきながら、恥の上塗りだけど、こちらこそ頼むよ。それでさ、時間も遅いからさっそく用件なんだけど…。実は…」
...
私は昨夜の中央公園での出来事について、端的に事実経過を伝えた
「…。やはり、そうなっちゃいましたか…。しかし、それにしても…」
鷹美はちょっと驚いた様子だったが、”ある程度”の予測はしていたようで、それは最初の一言に表れていた
そして私と同様、”背後”の汚い手口に、怒りがこみあがってきたと思う
「まあ、後の”処置”はしっかりやらないといけませんが、今はあの二人です。こんな惨い目にあって…、なんと痛ましい…。で…、実際、大丈夫なんでしょうか、テツヤ達は…。先輩‥」
「とりあえず明日、私と南部さんがテツヤ君を連れてケイコの家に行くことになったわ。そこで二人が話し合うから、まあその結果でね…」
「そうですか…。ご苦労様ですが、私からもお願いします。あの二人のこと…」
「ええ…。今日の様子だと、ケイコはしっかりしていたし…。もっともね…、心に受けた傷は察するにあまりあるけど…」
「先輩、二人がどういう結論を出すにせよ、今回の首謀者へは誤ったメッセージを与えないようにしないと…」
「私もそう思う。あの二人の名誉だけじゃなく、都県境の均衡にかかわることでもあるわ、もはや…。それは、私らでもしっかりフォローしていかないとね」
鷹美は”連中”が動き出したことを、すでに承知しているようだった
...
「とにかく明日の夜、また電話するよ。学校でテツヤ君と会ったら、鷹美なりに接してやってね。彼、あんなに泣いたこと生まれて初めてだったと思うし…。ホント、見てられなかったよ」
「わかりました。アイツはああ見えて純粋ですからね…。どんなに傷ついたことか…」
「まあ、二人のことが一段段落着いたら、その後ね。念入りにやってやりましょう、”みんな”で…」
「ええ、当然ですね。しかるべき行動はきっちりとです。ここは黙ってる訳にはいきません。”連中”にはいやと言うほどわかられてやらないと…」
...
鷹美は終始冷静だった
だが、怒りの炎の丈は私より高かったようだ
この女の気性はある意味、”赤い狂犬”合田荒子より激しい…
...
とにかく、彼女へは早めに話しておいて正解だったと思う
新たな総長補佐に就いたの鷹美と、この時点で今回の件を共有できたのは重要だわ
いよいよ”奴ら”が本性を現してきたんだから…
夏美
私は迷ったが、矢吹鷹美には”伝えて”おくことにした
「はい、矢吹です…」
「夜分、すいません。相川と申しますが、鷹美さんはいらっしゃいますか?」
「ああ、先輩…。私ですよ」
電話口には鷹美が出てくれたわ
よかった…、夜10時を回っていたし…
...
「鷹美、ごめんね。こんな遅くに。大丈夫、今?」
「ええ、構いませんよ。ああ、今回はOG代表の件、了承いただいて。受験で大変なところ恐縮ですが、ひとつよろしくお願いします」
「ううん。あんな形で引責辞任しておきながら、恥の上塗りだけど、こちらこそ頼むよ。それでさ、時間も遅いからさっそく用件なんだけど…。実は…」
...
私は昨夜の中央公園での出来事について、端的に事実経過を伝えた
「…。やはり、そうなっちゃいましたか…。しかし、それにしても…」
鷹美はちょっと驚いた様子だったが、”ある程度”の予測はしていたようで、それは最初の一言に表れていた
そして私と同様、”背後”の汚い手口に、怒りがこみあがってきたと思う
「まあ、後の”処置”はしっかりやらないといけませんが、今はあの二人です。こんな惨い目にあって…、なんと痛ましい…。で…、実際、大丈夫なんでしょうか、テツヤ達は…。先輩‥」
「とりあえず明日、私と南部さんがテツヤ君を連れてケイコの家に行くことになったわ。そこで二人が話し合うから、まあその結果でね…」
「そうですか…。ご苦労様ですが、私からもお願いします。あの二人のこと…」
「ええ…。今日の様子だと、ケイコはしっかりしていたし…。もっともね…、心に受けた傷は察するにあまりあるけど…」
「先輩、二人がどういう結論を出すにせよ、今回の首謀者へは誤ったメッセージを与えないようにしないと…」
「私もそう思う。あの二人の名誉だけじゃなく、都県境の均衡にかかわることでもあるわ、もはや…。それは、私らでもしっかりフォローしていかないとね」
鷹美は”連中”が動き出したことを、すでに承知しているようだった
...
「とにかく明日の夜、また電話するよ。学校でテツヤ君と会ったら、鷹美なりに接してやってね。彼、あんなに泣いたこと生まれて初めてだったと思うし…。ホント、見てられなかったよ」
「わかりました。アイツはああ見えて純粋ですからね…。どんなに傷ついたことか…」
「まあ、二人のことが一段段落着いたら、その後ね。念入りにやってやりましょう、”みんな”で…」
「ええ、当然ですね。しかるべき行動はきっちりとです。ここは黙ってる訳にはいきません。”連中”にはいやと言うほどわかられてやらないと…」
...
鷹美は終始冷静だった
だが、怒りの炎の丈は私より高かったようだ
この女の気性はある意味、”赤い狂犬”合田荒子より激しい…
...
とにかく、彼女へは早めに話しておいて正解だったと思う
新たな総長補佐に就いたの鷹美と、この時点で今回の件を共有できたのは重要だわ
いよいよ”奴ら”が本性を現してきたんだから…



