麻衣ロード、そのイカレた軌跡/補完エピソーズ集

その10
真樹子



いよいよ”決行Xデー”が近づいてきた

今日の日程はハードだ

まずは、今回の計画には直接は関与しないが、重要な会談がある

「真樹子先輩、今日も同行、よろしくお願いします!」

「うん。なら、行こうか」

逆髪神社で落ち合った二人は、バイクを走らせ約5分…、”レオ”という店に着いた


...


「久美、今日は先に言っとくよ。これから会うのは、紅組の現役メンバーだ。しかも、紅丸有紀の一級下で、4人衆と呼ばれてる幹部の一人だからさ。そのつもりでな」

「えー!あのう、いいんですか…、自分なんかが一緒で?」

「うん。まあ、名乗んなくていいわ。今後のこともあるから、妹分ってことにしとく。先方は片桐さんって、まあ、見かけは私とそっくりだよ。ハハハ…。結構、気心が知れてるんで、緊張しなくていい」

「はい。邪魔にならないように、黙って話を聞いていますので…」

私はすでに緊張気味の久美の肩をポンと叩いて、店の扉を開けた


...


片桐さんはすでにいた

窓際の奥の席で、たばこを吸ってたわ

「ああ、岩ちゃん!」

ケバイと括られるこのスマイル、私と全く一緒なんだよな(苦笑)

「片桐さん、こんにちわ。あの、今日は妹分を同席さてもらいたいんです。許可いただけますか?」

「峰子が話してた子だろ?最近、連れてるらしいね。いいよ、別に」

「すいません。で、今日のところは名無しの何とやらでお願いします。いろいろと”兼ね合い”がありますんで…」

「わかった。まあ、座んなよ」

私は久美に目配りして席に腰を下ろした

久美のヤツ、ハンカチで額を拭ってるよ

ありゃりゃ…、早くも汗びっしょりだ(笑)


...


会談は約30分弱で終わったわ

すでに片桐さんは店を出て、私は彼女がかけていた椅子に移動し、久美の正面に座ってた

「久美、私のハンカチ使いなよ。もうびしょびしょでしょ、それ…」

「ああ、すいません。洗って返しますから。じゃあ、遠慮なく…」

汗っかきの私も顔負けなくらい、久美、汗だらだだわ(苦笑)


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「なにしろ、緊張しちゃって。それに、話の中身も凄くて…。本当によかったんですか?私なんかが聞いてて」

「片桐さんとの場に同行させるのは、麻衣さんも承知済だしね。今の話はさ、あえてアンタに聞かせるつもりだったから、気にしないでいいのよ」

久美は”ふーっ”とため息をついて、目の前の水を一気に飲み干していた

はは…、何しろいきなりだったからなあ…

まさか紅組の最高幹部との場に立会うなんて、思いもしなかっただろうしね…(苦笑)


...


「…じゃあ、離脱は概ね半数ですか!」

「うん。その後もポチポチ出るかもしれないけど。当面はそんなとこね」

「で、時期は…」

「来週の幹部会の席でね」

「そんなに早く…!あの…、再度確認なんですが、ホントに4人共ですか?」

「ああ、それは決まりだわ。うん」

「そのあたり、”あっち”側は承知なんですかね?」

「”ほぼ”かな。4人全部ってのも」

「そうですか…」

紅組は思ったより早く、およそ半数が離脱する…


...


「となると、当面、その後のスタンスはどうなるんでしょう?」

「フリーよ。当然」

「なら今後は、すべての選択肢に除外はなしと含んでも構わないと…」

「そういうことになるわね」

「実は私、ここのところ、ますますせっかち症で…。いいですかね?」

「うん。”来週”、決まった後ならね」

「わかりました。こっちもそのつもりで組み立てします。まあ概ねは、いつぞやの”独り言”の通りってことです」

「了解…」

...


「それと”例の二人”、別件で昨日、面通しして”採用”ってことにしたんですけど、どうっすかね?今後の受け皿としては…」

「数増えればいいってもんじゃないけど、まあ、”その経緯”は興味深いし、痛快だわ。そいつらの言い分もね(笑)」

「そいつら、よろこびますよ。何しろ、活きはいいので」

「それで…、こっちからもいいかな?」

「どうぞ…」

「”ガラガラポン”の方はどうなの?実際のところ…」

「夏が終わる頃には次の”形”ができる見通しで、今すでに…。私も動きやすい立場になりましたんで」

「そう…。なら、楽しみにしてる」

「ありがとうございます」

「片桐さん…、そこで、まずは5人で近々を考えてるんですが…。どんなもんですかね?」

「ちょっと一人多いかな。4人でいいんじゃない?”その御仁”は、まだ…。さすがにねえ」

「そうですか。じゃあ、4人で調整します。近日中って目安で動きますが…」

「いいわ。そのつもりでいるよ」


...


紅組からの離脱グループとは、大筋で土台が叩けた

麻衣さんも、これで思いっきり加速できるだろう

その為にも、中央公園の計画はコケられない

この後会う”二人”には、しっかり空気足してやらないとね…

私は久美を連れて、”次”に向かった