その5
ケイコ
ほんの1分かそこらの間によくしゃべるわ、この二人
今さら中1のあの時ってよう…
面白くないことあったんなら、そん時来いって!
とにかくこいつら、偶然会ったなんてウソだわ
そうなると…、陸上やってる先輩ってのも、どうだかね
何が目的なんだか知らないけどさ…
フン、ひと通り終わったら、”今の口”にはケジメつけてやるしな!
...
「ちょっと!止まんな、ケイコ!」
急に立ち止まったわ、R子のヤツ
で…、5メートルほど前方の木の陰には、人が立っていた
暗くてはっきりしないが、若い女性の後ろ姿のようだ
あれか…?その先輩とやらは…
公園の街燈がかろうじて差し込んで、その人が微妙に見え隠れしてるけど…
うん…?
なんか、右手を上げてるようだ
その瞬間、私の背中をR子が強くおっぺした
「さあ、先輩に挨拶だよ!」
私はその勢いで、前のめりに先輩らしき女の人のすぐ後ろまでよろけて行った
そして女の人は振りかえった
「こんばんわ、カモシカちゃん~」
えっ…?
この人って…
あの逆髪神社で、テツヤを愚連隊連中が取り囲んでた時の…
...
「あのさー、私の顔なんかじっくり見てる場合じゃないでしょ、あなた!アレ、見えないの?」
私は、そのケバイ女の人が指さす方向に目をやった
木々を抜けた芝生の広場、そしてベンチには…、ああ、人がいる…
視界にはまず若い女の人が入ったが、同時に”声”をあげてることも認識できた
その声とは…、モロ、喘ぎ声だった
すでに上半身裸で…、左隣には裸身に絡みついてる若い男の人だ
「何やってんのよ!もっと近くでしっかり見てきなさいっての!」
ドン!
さっきのR子以上の力で私は背中をど突かれ、前方へ倒れ込んだ
情事に真っ最中のカップルは、公園の芝生に座り込んだ私の、ほんの数メートル前にいた
二人は私に気付くと、一瞬互いを離れ、私に注目した…
...
テツヤ…!!
向かって左側の男の方は、間違いなくテツヤだった
「…おけい!な、なんで‥!!」
それは、今まで耳にしたことがないような、か細い声だった
こんなの…、テツヤの声じゃないし!!
しかも…!
ズボン半分下ろしてるじゃんか…!
「わあーー!!」
二人の真ん前に座り込んでる私は、両手を後ろの芝生にペタンとやって、思わずひと叫びしていた
「わー、わーー!!」
そしてすぐに立ち上がると、”テツヤ達”に背を向け、大きな叫び声をあげながらその場を走り去った
「おけい…!待てよー!」
「テツヤ、行かないでったらー!!」
「放せよー!」
そんな声が何だかしてる…
後ろで…
...
私はまるで、競技のゴール間近を目指して全力疾走する時のように、夢中で走った
すると私の正面に回り込んで、両手を広げて制止する女が立ちはだかった
私はその人の前で、急ブレーキをかけるように立ち止まった
彼女は本の数メートル前、正面だ
で…、それ、さっきのケバイ女のようだ
「そう急ぐなって、なあ…」
「…」
何とも嫌味な笑みを浮かべたその人…
やはりこの女…、岩本真樹子!!
ケイコ
ほんの1分かそこらの間によくしゃべるわ、この二人
今さら中1のあの時ってよう…
面白くないことあったんなら、そん時来いって!
とにかくこいつら、偶然会ったなんてウソだわ
そうなると…、陸上やってる先輩ってのも、どうだかね
何が目的なんだか知らないけどさ…
フン、ひと通り終わったら、”今の口”にはケジメつけてやるしな!
...
「ちょっと!止まんな、ケイコ!」
急に立ち止まったわ、R子のヤツ
で…、5メートルほど前方の木の陰には、人が立っていた
暗くてはっきりしないが、若い女性の後ろ姿のようだ
あれか…?その先輩とやらは…
公園の街燈がかろうじて差し込んで、その人が微妙に見え隠れしてるけど…
うん…?
なんか、右手を上げてるようだ
その瞬間、私の背中をR子が強くおっぺした
「さあ、先輩に挨拶だよ!」
私はその勢いで、前のめりに先輩らしき女の人のすぐ後ろまでよろけて行った
そして女の人は振りかえった
「こんばんわ、カモシカちゃん~」
えっ…?
この人って…
あの逆髪神社で、テツヤを愚連隊連中が取り囲んでた時の…
...
「あのさー、私の顔なんかじっくり見てる場合じゃないでしょ、あなた!アレ、見えないの?」
私は、そのケバイ女の人が指さす方向に目をやった
木々を抜けた芝生の広場、そしてベンチには…、ああ、人がいる…
視界にはまず若い女の人が入ったが、同時に”声”をあげてることも認識できた
その声とは…、モロ、喘ぎ声だった
すでに上半身裸で…、左隣には裸身に絡みついてる若い男の人だ
「何やってんのよ!もっと近くでしっかり見てきなさいっての!」
ドン!
さっきのR子以上の力で私は背中をど突かれ、前方へ倒れ込んだ
情事に真っ最中のカップルは、公園の芝生に座り込んだ私の、ほんの数メートル前にいた
二人は私に気付くと、一瞬互いを離れ、私に注目した…
...
テツヤ…!!
向かって左側の男の方は、間違いなくテツヤだった
「…おけい!な、なんで‥!!」
それは、今まで耳にしたことがないような、か細い声だった
こんなの…、テツヤの声じゃないし!!
しかも…!
ズボン半分下ろしてるじゃんか…!
「わあーー!!」
二人の真ん前に座り込んでる私は、両手を後ろの芝生にペタンとやって、思わずひと叫びしていた
「わー、わーー!!」
そしてすぐに立ち上がると、”テツヤ達”に背を向け、大きな叫び声をあげながらその場を走り去った
「おけい…!待てよー!」
「テツヤ、行かないでったらー!!」
「放せよー!」
そんな声が何だかしてる…
後ろで…
...
私はまるで、競技のゴール間近を目指して全力疾走する時のように、夢中で走った
すると私の正面に回り込んで、両手を広げて制止する女が立ちはだかった
私はその人の前で、急ブレーキをかけるように立ち止まった
彼女は本の数メートル前、正面だ
で…、それ、さっきのケバイ女のようだ
「そう急ぐなって、なあ…」
「…」
何とも嫌味な笑みを浮かべたその人…
やはりこの女…、岩本真樹子!!



