ゴールドシートを独占した少女/その2
ケイコ


どうやらもう間もなくらしい南玉連合の代継ぎでは、次期総長に亜咲さんが候補にあがってるらしいんだ

紅組を率いる紅子さんは、今から友好関係にある新体制を見据え、次のトップにつくであろう亜咲さんにシグナルを発信しとこうってことなんだろうね

紅子さんは亜咲さんのお隣に住んでる私に、言わば義理の妹の立場からってことでさりげなく伝えて欲しいということだったんだけど…

まあ、部外者で中学生の私なんかを何でわざわざ通すのかなって気はしたわ

そん時はやっぱりね

もっとも、紅子さんと私が親しい関係なのは亜咲さんも以前から承知してるし、特段不自然ではないんだけどね

「…ケイちゃん、紅丸さんには了解したと伝えて欲しい。悪いね、伝言の遣いみたいなことさせちゃって」

「ううん、いいんだけどさ…。ただ、亜咲さんと紅子さんが直接話せば済むことなのに、何で私を挟むのかなってね…。なんでなのかな?」

私は率直に疑問を亜咲さんぶつけてみた

亜咲さんはちょっと笑いを漏らしてから”解説”してくれたわ

...


「あのさ、あの人からしたら、こういう主旨のメッセージは、文字通りシグナルである必要があると考えてるんだよ。…南玉連合は確かに紅組とは友好関係にあるし、そもそも、今の女性集団としての南玉が誕生したのだって、紅子さんが大きく関わってるしね。だけどさ、南玉の組織運営に口を挟むことはできないよ、当然ながらさ」

そりゃそうだ

私なんかでもわかるわ

「…ましてや、今度私が南玉のトップになることを折り込んで、新しい体制の方針に関わることまでとなったら、下手したら内政干渉と見られるでしょ。だから、こういうデリケートな内容は直接会って話したりすると、周囲からあらぬ誤解や憶測を生んじゃうリスクがね…。はは…、紅丸さんはその辺を考慮してさ…、ケイちゃんになら見た目では世間話になるし」

「なるほど…。でも、何も私じゃなくてもねえ…。組織内のこと何も知らないしさ」

「だからいいんだよ。その方がかえってね。第一、紅丸さんからしたら、ケイちゃんみたいな子だからってことなんだよ。こういったつなぎは誰でもいいって訳にはいかないから。紅丸さんはちゃんとそこを見切ってるよ。さすがだよ」

「うーん…、やっぱりピンとこないや、私みたいな子供なんかじゃ。はは…」

亜咲さんは盛んに苦笑してたわ