繰り返されるうちに強張っていた身体から力が抜けてきて、キスに夢中になっていく。次第に濃密さも増して、なんだか身体の奥のほうが疼くようなもどかしい感覚を覚える。

「ん、ふ……っ」
「そう、上手。声も甘くなってきた」

 キスの合間に吐息交じりの官能的な声で囁かれ、恥ずかしさとゾクゾクとした快感でいっぱいになる。こんなに気持ちよくなるなんて、まるで──。

『彼はきっとベッドでも紳士的でしょうから、愛されていると錯覚させてくれるかもしれません』

 沢木さんの言葉が蘇り、とろけ始めていた心にほろ苦さが入り交じる。

 キスをしても、身体を重ねても、私たちの間に愛はない。そう思うとどうしようもなく寂しさが押し寄せてきて、彼のシャツを遠慮がちにきゅっと握りしめていた。