孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】

 なにげない会話を楽しみながら、モデルルームのような部屋をざっと案内してもらう。

「今日は疲れただろう。黒凪家の皆は強烈だから」
「あ……はい、洗礼を受けたって感じでした」

 二階への階段を上りながら、私は先ほどのご家族を思い返して苦笑を漏らした。そして、なにげなく問いかけてみる。

「奏飛さんは弟さんたちと仲がいいんですか?」

 途端に、奏飛さんの表情に影が落ちたように見えて気になった。

「さあ……どうだろうな。競争し合うのが普通の家だから、よくはないと思う」

 そう答える口調もどこか暗い。彼も、決して家族と円満というわけではなさそうだ。

 私たちは、これから人並みの夫婦になれるんだろうか……。

 すべての部屋を見せてもらいながら、ここで自分になにができるかを再び考え始めていた。奏飛さんのために、家事以外で力になれることはなんだろうかと。

 しかし、具体的に思い当たるものは今のところひとつしか出てこない。たぶん、初夜の話を聞いたせいだ。私にできることが子作りしか浮かばないなんて……!

 男性と付き合うどころか、恋すらした経験がない私には最大の試練だ。ちょっとエッチな漫画で覚えた知識くらいしかないというのに、一体どうしたらいいものか。