孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】

 囁かれた瞬間、ぼっ!と頬が熱くなった。

 そうか、初夜……! 今夜から奏飛さんと寝食を共にするってこと、すっかり頭から抜けていた。まだ家の中も見ていないけれど、夫婦なんだからきっと寝室は一緒だよね?

 急に焦り始める私は、香苗さんの腕にしがみつきそうな勢いで問いかける。

「初夜にもなにか決まりとかあるんですか……!?」
「黒凪家の嫁は、子孫を残すことも重要な役目なの。だから、初夜には契りを結べという暗黙のルールがあるって、瑛司さんに教えられたわ」

〝契りを結べ〟というのは、もしかしなくても身体を重ねろという意味? 男性とひと晩過ごすだけでも初めてなのに、そんなのハードルが高すぎる!

 香苗さんたちは政略結婚だったとさっき聞いたが、忠実にルールを守ったんだろうか。

「じゃあ、香苗さんも瑛司さんと──」

 しまった、いきなりプライベートな話を……!と口をつぐんだ。一瞬目を丸くした香苗さんは、ぽっと頬を染めてしおしおと俯く。

「わ、私は瑛司さんがすごく優しくしてくれたから……素敵な初夜だったわよ」

 恥じらいつつも幸せそうにする彼女を見て、私はぽかんとしてしまった。

 あの瑛司さんが? 冷血そうに見えて実はフェミニストなのか、意外。香苗さんも彼が好きなんだろうなとなんとなく感じて、口元がだらしなく緩む。