孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】

 家訓とか本当にあるんだ。すごいな……。でも勉強するって、まさかテストとかしないよね?

 不安になりつつお義父様にも挨拶して、瑛司さん夫妻と一緒に部屋を後にする。

 奏飛さんと瑛司さんが歩きながら仕事の話をし始めると、香苗さんが私の隣にやってきた。私のほうが年下なのと、食事会で打ち解けたおかげでフランクに接してくれるようになったのだ。

 ふわりとフローラル系の香りを漂わせる彼女は、声を潜めて話し出す。

「通過儀礼、私もやったわ。何度眠りに落ちそうになったことか」
「香苗さんも。財閥の家って、すべてが現実離れしていてすごいですね……」
「最初は戸惑うけど、この家に嫁いだからには受け入れるしかないのよね。私も相談に乗るから、一緒に頑張りましょ」

 にこっと微笑んで優しい心遣いをしてくれる彼女は、まさに天使だ。心強い存在を嬉しく思い、私も「ありがとうございます」と笑みを返した。

 その直後、香苗さんはなにかを思い出したように言う。

「あ、でも明日の勉強会の前に大事な課題があるじゃない。まずそれを頑張らないとね」
「課題?」

 なにかあっただろうかと首をかしげる私の耳元に、彼女がさらりと髪を揺らして顔を近づける。

「初夜よ。今夜、夫婦になって初めて奏飛さんと夜を過ごすんでしょう?」