孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】

 離縁という重いひと言が、ずしりと心に投げ込まれた。私は唇をきゅっと結ぶも、奏飛さんの意思はぶれない。

「離縁などしませんよ。俺は深春の人生を預かったんですから。簡単に手放すようなマネはしません」

 頼もしい彼の言葉に奮い立たされ、私もぐっと手を握る。

「私も、奏飛さんと一生添い遂げると覚悟してまいりました。黒凪家の名に恥じぬよう、精進していきます」

 しっかりと宣言して、「よろしくお願いします」と深く頭を下げた。

 すると、ずっと静観していたお義父様が口を開く。

「なかなか骨のありそうなお嬢さんじゃないか。私は気に入ったよ」

 好意的な言葉が意外で顔を上げると、お義父様は穏やかに微笑みかける。

「深春さんの生い立ちやご家族について、少し調べさせてもらったよ。悪い虫がつくと困るんでね。不安要素は先に排除しておきたいから」

 笑顔とは裏腹に怖い単語を並べられ、私の顔がカチッと強張った。やっぱり、お義父様も決して優しい人ではなさそう……。

「あなたの親代わりの鮫島さんは人間性に難があるようだが、彼の町工場は黒凪不動産が契約している建設会社とも繋がりがあるし妥協することにした。結婚を機に縁を切れば問題ないだろう」