孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】

 一方、香苗さんはすっと腰を上げてふわりと微笑む。

「私はお嫁さんが来てくれて嬉しいです。仲よくやっていきましょう」
「香苗さん、よろしくお願いします」

 瑛司さんとは対照的に彼女はとても愛想がいいのでほっとするも、今の状況では返す笑顔がぎこちなくなってしまった。

 香苗さんは癒し系の雰囲気で、顔も声も可愛らしい。彼女も嫁いできたのだし、これから悩みを相談できる相手になってもらえたらいいのだけど。

 なんて頭の片隅で考えていると、彼女の左隣のソファに座っている、私と年が近そうな男性が軽い口調で言う。

「香苗さんの言う通り、母さんも瑛司兄ちゃんも初日くらい優しくしてあげましょうよ。深春ちゃんにはこれからたくさん嫁いびりが待ってるんだから」

 さらっと怖いことを言う彼は、私ににっこりと笑顔を向ける。緩く波打つふわっとした髪に中性的な顔立ちで、アイドルみたいだ。

「三男の(あゆむ)です。僕は優しいから安心してね」
「説得力ないですよ、歩」

 瑛司さんが眼鏡を押し上げながら淡々とツッコむ。私は口の端を引きつらせて「よ、よろしくお願いします」と返すしかなかった。