孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】

 車を降り、手入れが行き届いている庭を通って円形の玄関ポーチへ向かいながら奏飛さんが言う。

「今日は両親と弟たちが集まってくれている。よそ者に対して警戒心の強い人たちだから、あまりいい気持ちにはならないかもしれない。覚悟しておいてくれ」
「大丈夫です。慣れていますから」

 こういう時のために私が妻に選ばれたんだから、と気合いを入れて返すと、彼はちらりと私を一瞥してわずかに口角を上げた。

 インターホンを鳴らす彼の隣で、深呼吸して気を落ち着ける。すぐにドアが開かれ、使用人らしき初老の男性が姿を現した。

 整った白い髭と優しそうな顔立ちが印象的なその人は、「おかえりなさいませ、奏飛様」とうやうやしく頭を下げて迎える。その様子を目の当たりにして、さすが御曹司……!と心の中で唸ったのは言うまでもない。

 彼はにこにこしながら私にも「深春様、お待ちしておりました」と声をかけてくれて、ちょっぴり心が和んだ。

 案内されて美術館のような廊下を進み、黒凪家の皆さんが待つダイニングに通される。明るい日差しが存分に差し込む広いサンルームが繋がっていて、各々がソファに座っていた。