孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】

 お墓参りを終えた後は、いよいよ婚姻届を提出する。私が戸籍謄本を取らなくてもいいように、私の本籍地の区役所へ向かった。

 証人は黒凪家に仕える執事と家政婦長にお願いしたそう。いつの間にか印鑑も不要となっていたようでびっくりしたけれど、判子は持ち歩いていなかったから助かった。

 婚姻届には奏飛さん側はすでに埋められていて、残るは私だけ。間違えないように丁寧に記入したそれを時間外受付に提出する。「おめでとうございます」とひと言もらい、奏飛さんと目を合わせた。

 無事に受理されれば今日が結婚記念日になるのだ。

 誕生日でも、語呂がいい日でもないただの祝日。だけど、今日から毎年特別な一日になる。


 カジュアルなレストランで昼食を食べた後、いよいよ黒凪家にやってきた。

 白金の閑静な高級住宅街の中、まるで迎賓館のような立派な邸宅が建っている。門の中へゆっくり進む車の中からそれを見上げ、素晴らしさに圧倒される。

「ここで両親が暮らしている。大正時代からある先代の屋敷に少しずつ手を加えて、この状態になった」
「すごい……! レトロさを感じる素敵な洋館ですね」

 白い壁に焦げ茶色の枠組み、格子状の窓が重厚な雰囲気を醸し出している。ヨーロッパの建築様式を取り入れた、まさに大正ロマンな豪邸だ。