孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】

 家族ではないと切り捨てられ、居場所すら与えられない絶望感と虚無感でいっぱいになる。

 鮫島家を出ていくのを認められたら、きっとスッキリするだろうと思っていた。なのに実際は、ただただ虚しいだけ。

 ……そうか、今になって気づいた。私はたとえ雑用係だとしても、皆に必要とされていたかったんだ。

 人形になったかのごとく無表情で立ち尽くす私に、星羅がいたずらっ子のような笑みを向ける。

「フルコース食べに行かないとね。出ていく時におごってくれるんでしょ」

 軽い調子で言われた言葉が耳を通り抜けていった、その時。

「いくらでもごちそうしますよ、私が」

 背後からした声にはっとして振り返ると、リビングのドアから黒凪さんが姿を現した。

 私以外は皆一様に目を見開いて、椅子からひっくり返りそうになっている。

「くっ、黒凪さん!!」
「いつからそこに……!?」
「勝手にお邪魔して申し訳ありません。深春さんを送り届けると約束しましたので」

 気品漂う所作をして平然と言う彼だけれど、目がまったく笑っていない。

 実は先ほど、まず叔父たちに話して了承をもらいたいという旨を伝えると、黒凪さんは難しい顔をしてこう言った。