孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】

 そうか……私を特別扱いする理由がよくわかった。虐げられている私に同情するわけでもなく、ただ一族の中での生活も我慢できそうな女だからというだけだったんだ。

 黒凪家に嫁いだとしても階級に縛られるなら、今とあまり変わらない気がする。今日素敵な体験をさせてもらえたのだって、決して私自身のためではなかったのだから。

「……結局、私は都合のいい存在なんですね」

 肩を落とし、伏し目がちに力なく呟くと、黒凪さんがぴくりと反応を示した。

「鮫島家を出れば自由になれると思っていました。あなたについていったら、なにかが変わるかもしれないとも。でも、鮫島家にいようが黒凪家に行こうが、私の意思は関係ないんですよね。どこへ行っても同じ」

 自嘲するような笑みをわずかに浮かべて、本音を吐露した。

 自分の人生は自分でなんとかしないといけないのに、いつの間にか勘違いしていたみたい。彼の手がとても温かくて、頼もしい言葉をくれるから、救い出してもらえるんじゃないかって。

 そんな王子様みたいな人、簡単に現れるわけがない。