孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】

「一族の人間にとっては昔からこれが当たり前だが、俺はこんなものに縛られるなんてくだらないと思っている。制度を廃止するには当主の承認が必要だが、アッパーにならなければ父と交渉すらできない」

「……そのために階級を上げたいから、黒凪さんは結婚を望んでいるんですね?」

 目を見張って確認すると、彼は軽く頷いた。

 てっきり最高権力者になって周囲に力を知らしめたいとか、財産をひとり占めしたいとか、単純にそういう理由なのかと。わりとがめつい人なのかな……なんて思ったけれど、決してそうではなかったみたい。

 いろいろと徐々に理解してきたものの、やはりいまだにわからないのはなぜ私に求婚したのかだ。

「でも、どうして私なんですか? 結婚相手には家柄も関係してくるんじゃ……」

「幸い、規則の中に結婚相手に干渉したものはない。どんな立場の相手と結婚して、どんな生活を送ることになろうと自分の責任になるからだ。もしそれで一族に迷惑をかける事態になったとしても、自分が降格されるだけ」

「それじゃなおさらおかしいですよ。私みたいな女と結婚したら、黒凪さんだけでなくご家族も周りになんて言われるか。庶民より、奴隷と呼ぶほうが合っているような生活をしてきたのに」

「だからだよ」

 即座に返され、私は口をつぐむ。奴隷がいいとは、どんな物好きなのだ。