孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】

 なるほど、そういうメリットもあるのか。階級制度を作った当時の人たちは、ステータスを上げれば仕事も優位に行える仕組みにしたということなんだろう。

「黒凪さんはどの位置にいるんですか?」

「社長ではあるが、未婚だからミドル・ミドルという地位だ。結婚するとアッパー・ミドル、子供が生まれれば最高位のアッパーになる」

「その階級の種類を覚えるだけでひと苦労しそうですね……」

 すでに混乱し始めている私に、黒凪さんはネクタイピンをつけ直して「苦労はそんなもんじゃない」と言う。

「財産の分け前は階級によって変わるし、住む家の規模も決められていて、自分の地位に見合った暮らしをしなければいけない。それに、妻が働きに出るのは夫の稼ぎが低いからだと見なされてしまうから、女性は専業主婦を余儀なくされる」

 階級によってかなり生活に差があるのだとわかり、私の表情が強張った。翼さんが『嫁入りするってなると逃げちゃう女性が多いのかも』と言っていたのは、こういう制限があるからだったのか。

 黒凪さんは、ややうっとおしそうな面持ちになって続ける。