孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】

「今度はブティック……!?」
「さすがにTシャツとジーパンでは星がついたレストランに入れないからな」

 堂々と掲げられたブランドの名前から、涼しげに言う黒凪さんへと勢いよく視線を移す。

 高級レストランにまで行くつもりなの!? 今日だけで私のために一体いくら使う気なんだろうか。

 唖然とする私は有無を言わさずショップの中へ連れていかれ、黒凪さんがいくつかの服をあてがって似合うものを見繕ってくれた。

 試着室で上品なハイネックのノースリーブワンピースに着替え、スニーカーもアンクルリボンが可愛いパンプスに変えて店を出る。

 またしてもすごい額を払わせてしまった……。彼にとってはきっと微々たるもので、返せとも言われないだろうけれど、借金を作ったようなうしろめたさを感じる。

 こんなに女らしい格好をしたことはないからなんだかそわそわするし、ヒールがある靴も歩き慣れない。でも、自分が本当にシンデレラのように生まれ変わったみたいですごく新鮮だ。

 現実味はなくてもいい気分で、まだ明るいうちに銀座の高級レストランにやってきた。叔父たちが来ていたのとはまた別の店だが、洗練された外観は見るからに敷居が高そう。