孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】

「君はなにをしても綺麗だな」

 ひとり言のようにこぼれた声が、私の心臓を大きく揺らした。

『ありのままの心で接してるはず』

 翼さんが言っている通りなら、私にかけた言葉はどれも本心ということになる。私なんかよりあの女性陣のほうがずっと綺麗なのに、どうして目もくれないのか不思議で仕方ない。

 きっと叔父たちを見返すという目的のほかに、なにか理由があるはず。美女たちの〝なにあの女!?〟と言いたげな悲鳴が聞こえるも、彼の頭の中を覗くように見つめ返していた。


 翼さんに見送られてエステサロンを後にした私たちは、再び車に乗り込んだ。帰り際に『奏飛とその後どうなったか、また今度教えてね』と楽しそうに耳打ちされて。

 彼女が期待するようなことがあるとは思えないが、車が走り出すのは家とは違う方向なので、とりあえずまだデートは終わらなさそうだ。

 次はどこへ行くのだろう。つい今しがた、エステの一時間コースの料金が十万円越えだと知って放心状態なのだけど……。その額をさらっと支払ってしまう黒凪さんの財力にも、改めて驚愕した。

 その衝撃が消えぬまま次に連れてこられたのは、有名な高級ファッションブランドのショップだった。私はきらびやかなそのお店を見上げて、あんぐりと口を開ける。