孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】

 特別、という響きに胸がざわめいたその時、私たちに気づいた黒凪さんと目が合った。

 まだ食い下がろうとする美女ふたりに構わず、彼はおもむろに腰を上げてこちらにやってくる。まるで彼の中から彼女たちの存在が消えているかのごとく。

「終わったか?」
「ええ、もうバッチリ。メイクもしちゃった。どうよ」

 得意げな翼さんに肩を抱かれ、これ見よがしに黒凪さんの前に立たされる。注目されると恥ずかしいんですが……。

 無意識に俯き気味になる私の顎に、ふいに大きな手が添えられる。

〝よく見せて〟と言わんばかりにくいっと上を向かされ、否応なく整った顔が視界に飛び込んできた。先ほどの美女たちが控えめに「えぇっ!?」と困惑の声を上げている。

 彼の瞳に映るのは、変身した私。肌はパールメイクで艶っぽく、目は淡いピンクとパープルのアイシャドウで可愛く儚げに、唇はローズベージュのリップでヌーディーに仕上げた……と、翼さんが言っていた。

 さっきよりはマシになっているであろう顔を、彼はしばしじっと見つめる。その視線にいたたまれなくなっていると、口角が上がった彼の唇が動く。