孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】

「ここはキャバクラじゃないっつーの」
「さすが、女性が放っておかないですね……」
「でも見ててよ。あいつ、本気で興味のない相手には目すら合わせないから」

 彼女が小声でこそこそと言うので、とりあえず様子を観察してみる。

「黒凪社長、これを機に連絡先を──」
「個人情報は教えられません」
「じゃあ、今度ぜひパーティーに──」
「結構です」

 すべてのお誘いを食い気味に、そして無慈悲に断る彼に、美女ふたり組は撃沈している。確かに彼の視線はずっとタブレットに向いたままだ。

 翼さんがくるりとこちらを向いて苦笑する。

「ね? 仕事関係の人や仲間以外にはあんな感じ。他人は基本どうでもいいんだってさ」
「そんなに薄情な性格だったんですか……」

 なんだか、私が抱いた印象とは違う。クールだけれど冷たいというより落ち着きがある感じで、会ったばかりの私にも寄り添ってくれるから、誰に対しても優しさを持つ人なのだと思っていた。

 どうして私にここまでしてくれるのか、ますます謎が深まっていくものの、翼さんは意味ありげに微笑む。

「でも、それは自分に正直とも言えるよね。深春ちゃんに対しても、奏飛はありのままの心で接してるはずだよ。あいつが初対面でこんなに世話を焼く女の子はまずいないし、深春ちゃんは相当特別なんだと思う」