孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】

 その意味が気になって聞き返すと、彼女は鏡の中の私としっかり目を合わせる。

「知らない? 日本三大財閥家の階級制度」

 財閥家の階級制度……?

 なにやら重々しそうな響きで、私は眉をひそめた。翼さんはアイシャドウを選びながら説明する。

「三大財閥が黒凪家と藤堂(ふじどう)家、矢神(やがみ)家っていうのは知ってるよね? その御三家には共通のピラミッドがあって、各財閥の当主が一番上の上流階級に属して、絶対的な権力を持ってる。詳しいことはわからないけど、奏飛たちはその下にいて、それぞれの階級に見合った振る舞いをしなきゃいけないんだって」

 一族同士の中でそんな階級が定められているの? にわかには信じられない話で唖然としてしまう。

 翼さんは苦笑交じりに、「住む家の規模が違ったり、財産の分け前が変わったりするらしいよ」と付け加えた。まるでイギリスか、大正の頃にあった華族制度を彷彿とさせる。

 でもそれと違うのは、家と家ではなくて個人に適用されるという部分だろうか。

「じゃあ、親と子の間にも階級があるってことですか?」
「そうそう。一般家庭からは想像できない世界でしょ。そんな一族の中で育ったら家族を家族と思えなくなりそうだし、普通の感覚を失くしちゃいそうだよね」