孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】

「ねえ、ちょっとメイクしてみてもいい? 私、この店を始める前はメイクアップアーティストやってたんだ」

 子供みたいに目をきらきら輝かせるものだから、私の気分もさらに明るくなる。断る気はなく、ふふっと笑って頷いた。

「こんな顔でよければ、お願いします」
「よっしゃー。なにもしなくても可愛いけど、深春ちゃんはメイク映えする顔だと思うんだよね。血が騒ぐわ~」

 翼さんはわくわくした様子でさっそく小物を選び始める。私は普段、最低限のメイクしかしないから、どんな風になるのか自分でも楽しみだ。

「肌綺麗だねぇ。髪もさらさらで痛んでないし。羨ましい」

 まずファンデーションの下地を手際よく塗りながらそう言う翼さんは、なにげない調子で問いかける。

「ところで、深春ちゃんは奏飛とどういう関係なの?」

 そりゃあ気になるだろうな。あんな風に連れられてきたら。でも……私たちってなんの関係もないよね。

「私にも説明できないんです。今日、初めて会ったばかりで」
「んっ!? 初対面でここに連れられてきたの!? なんじゃそりゃ!」

 ピンと背筋を伸ばしてすっとんきょうな声を上げる翼さんの気持ちはよくわかる。