クラシックコンサートに行った時、沢木さんが歩に好意を抱いていることに気づいた。いつも表情を変えない沢木さんの、とろけるような乙女の顔を初めて見たから。
一方、歩はどうなのかいまいちわかりかねていたのだが、どうやら本気だったようだ。彼が階級を廃止するのに賛成したひとつの理由は、家政婦である彼女と付き合いたかったからだと知って驚いた。
沢木さんは今もうちで働いてはいるが、ふたりが結婚したら喜んで送り出そう。
「そういえば奏飛兄ちゃん、もうレストランにピアノ弾きにいかないの? 支配人が寂しがってるらしいよ」
歩がピアノのおもちゃを見てそう言った。
深春と会う前は、定期的に銀座のレストランで演奏させてもらっていた。支配人が佛さんの友人で、よければ弾きに来ないかと誘ってくれたのがきっかけで、その厚意に甘えていたのだ。
だが、結婚をきっかけにここ一年は行っていない。弾きたくなくなったわけじゃなく、それより深春がいる家にいたいと思うようになったからだ。
「予定はない。深春たちと一緒にいたいからな」
「すっかり甘くなっちゃって」
にやにやして冷やかす歩だが、ふとなにかを思い出したように真顔になる。
一方、歩はどうなのかいまいちわかりかねていたのだが、どうやら本気だったようだ。彼が階級を廃止するのに賛成したひとつの理由は、家政婦である彼女と付き合いたかったからだと知って驚いた。
沢木さんは今もうちで働いてはいるが、ふたりが結婚したら喜んで送り出そう。
「そういえば奏飛兄ちゃん、もうレストランにピアノ弾きにいかないの? 支配人が寂しがってるらしいよ」
歩がピアノのおもちゃを見てそう言った。
深春と会う前は、定期的に銀座のレストランで演奏させてもらっていた。支配人が佛さんの友人で、よければ弾きに来ないかと誘ってくれたのがきっかけで、その厚意に甘えていたのだ。
だが、結婚をきっかけにここ一年は行っていない。弾きたくなくなったわけじゃなく、それより深春がいる家にいたいと思うようになったからだ。
「予定はない。深春たちと一緒にいたいからな」
「すっかり甘くなっちゃって」
にやにやして冷やかす歩だが、ふとなにかを思い出したように真顔になる。



