孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】

「深春さん、抱っこしてもいいかしら?」
「はい。もちろん」

 目をキラキラさせて確認を取る母に、深春は快く頷いた。頼まなくてもこうして母が面倒を見てくれるので、深春も俺もとても助かっている。

 一児の母となった彼女も、前と変わらず美しい。母性が溢れる優しい顔に、ふいにドキッとさせられることもある。とにかく、俺は今も日々彼女に恋をしているわけだ。

 慣れた手つきで音羽を抱っこした母はゆらゆらと揺らしながら、サンルームでビジネス雑誌をめくっている父のもとへ歩いていく。

 孫にメロメロになっているのは、実は父も同じだ。以前から表情だけは温和な人だが、今では抑えきれない〝デレ〟の部分が如実に顔に出ている。孫は目に入れても痛くないというのは本当らしい。

 そこに近づくと音羽が雑誌に手を伸ばし、父が嬉しそうに顔を上げる。

「おっ、経済誌に興味があるのか? 次期会長は音羽に決まりだな」
「私たちをすっ飛ばさないでください」

 俺たちと一緒にダイニングテーブルに座って、食後の茶を嗜んでいる瑛司がツッコんだ。俺も同じことを思っていたので笑いがこぼれる。

 しかし彼の隣にいる香苗さんは、それより気になることがあるらしい。